知りたいことを調べる時、1冊の本ですべてが解決されることは稀で、1冊をベースに、2冊3冊と組み合わせることで難しい問題をクリアにできることがあります。
映画『ゾディアック』は、1960年代後半から1970年代初頭にかけてサンフランシスコのベイエリアとその周辺で発生した連続殺人事件、通称「ゾディアック」事件を描いています。自分を犯人だと名乗るものが警察や新聞社にいくつかの手紙と暗号を送ったことでも知られる現在も未解決の事件ですが、映画の大部分を新聞社に勤める風刺漫画家のロバート・グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)が複雑な暗号の解読に奮闘する様子が占めています。
図書館の本で複雑な暗号を解読する その1
カリフォルニア州バレーホで若いカップルが拳銃で何発も撃たれる事件が発生し、犯人と名乗る男が自ら警察に通報、その4週間後にサンフランシスコの各報道機関に暗号付きの手紙が送りつけられます。
日刊新聞社「サンフランシスコ・クロニクル」では編集会議の途中にそれが届き、偶然、このとき暗号を手にした風刺漫画家のロバート(ジェイク・ギレンホール)が、この暗号にひどく興味を惹かれます。
その日、ロバートは図書館で「The code breakers(暗号戦争)」など暗号に関する本を図書館から借りて帰ります。
(図書館で借りるシーンはありませんが、請求記号のシールが貼られた本が映り、その後図書館で借りたということが分かる描写があります。)
犯人を名乗るものから送られてきた、ギリシャ文字にモールス信号、天気記号に占星術など、全部で3つ、17の記号が8行ある暗号文は、海軍情報センター、FBI支局、CIA本部にも送られ、12時間後には新聞に掲載されます。
この暗号は、歴史教師と、パズルが趣味だというその妻が解読に成功しますが、のちに、ロバートも解読していたことが分かります。
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同じ日、「サンフランシスコ・クロニクル」紙にふたたび手紙が届き、今度は「ゾディアック」と名乗ります。
その後、ゾディアックの犯行だと思われる事件が2件発生し、ゾディアックから警察に向けた手紙がクロニクル誌に届き、またも暗号が同封されています。
その日、ロバートはクロニクルの記者ポール(ロバート・ダウニー・Jr)とはじめて職場の外で会い、会話は自然とゾディアックの暗号のことになります。
ロバートは、ゾディアックから最初に届いた暗号はボーイスカウトでやったような単純な換字暗号だといい、ポールに解読の仕方を教えます。
ポールに「でも、それだけで全部は解けないだろう。」といわれると、ロバートは「図書館へ行けば(解ける)」と答えます。
この段階で、ロバートは、単純な換字暗号について書かれた本「The code breakers(暗号戦争)」と、中世の暗号について書かれた「CODES and chipers(暗号と暗号を解くカギ)」の2冊を使って、最初の暗号を解読できると理解しています。
図書館の本で複雑な暗号を解読する その2
最後にゾディアックからマスコミに暗号が届いてから、その読解は誰にもできていません。
海軍情報センター、FBI支局、CIA本部も匙を投げています。
しかし、10年後、ロバートは本当に暗号を解読します。
詳しい描写がないのが残念ですが、テレビニュースの記者に「なぜ、漫画家のあなたにできたのか?」の質問にこう答えます。
Oh, uh, just a lot of books from the library.( ああ、ええと、図書館からたくさん本を借りました。)
図書館の本を使って複雑な暗号を解読することはできる?
ゾディアックの暗号に関する本を図書館で探すには工夫が必要です。
ギリシャ文字、モールス信号、天気記号、占星術はそれぞれ分類が異なるからです。
たとえば「暗号事典」のようなものであれば、言語にあたる800番台(日本十進分類法)で、モールス信号の一覧を見ようと思ったらやはり800番台になります。
『記号の事典 セレクト版』(1996年 三省堂)のp.28~にモールス信号の日本符号、数字符号、国際符号が一覧で載っています。
また、『世界の文字の図典』(1993年 吉川弘文館)のp.551にも一覧が載っています。
しかし、これらの事典は参考図書なので貸出はできません。
ギリシャ文字は、同じく日本十進分類法では891です。
占星術は「相法. 易占」の148で、天気記号は「気象学」の451です。
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