映画のキャプチャ画像© 2010 Tre Vänner AB. All rights reserved.(『ピュア 純潔』より)
図書館の中で、最も知られていること、かつよく利用されるサービスが、
- 図書館で図書館にある本を読む
- 図書館の本を借りる
ということだと思います。
何かを学びたい、知りたいという気持ちがあるのに、家に本がなかったり親に本を買ってもらえなくても図書館がある。
そのことを教えてくれる映画に『マチルダ』や『ピュア 純潔』の少女がいます。
児童書コーナーの本を読破
類まれな天才児であるにも関わらず、無関心な両親にその才能に気づいてもらえないマチルダは、4歳で家中にある雑誌を読破すると、勇気を出して、父親に本を買ってほしいとお願いします。
しかし、その希望は叶いませんでした。
翌朝、家族が出かけ、家に一人になったマチルダは、イエローページ(電話帳)をめくって図書館を探します。
マチルダは、〈図書館(library)〉という言葉すら分からずに〈本(book)〉をキーワードに電話帳をめくり、やがて図書館の存在を知るところになります。(この辺りは詳しくは描かれていませんが、マチルダが”本”を目当てにイエローページをめくっていることは分かります。)
そして、〈図書館〉という場所に本があることを知ったマチルダは、ひとりでそこに向かいます。
その日を境に、マチルダは毎日図書館に行き、1日中図書館の本を読むようになります。
やがて児童コーナーの本を読破してしまうと、一般書のコーナーにも足を延ばし、そこで図書館の新たなサービスを知ることになります。
図書館で図書館の本を読んだり参照したりすることを閲覧サービスといいます。
映画に図書館が登場するとき、同時にもっとも描写されるサービスだといえます。
好きな相手にすすめられた本を読む
マチルダと同じように、生まれた環境に恵まれなかったけれど、環境が違えばきちんと学んだ子、本当は学びたかった子なのだと思わされる少女に『ピュア 純潔』のカタリナ(アリシア・ヴィキャンデル)がいます。
スウェーデンの低所得者層で、定職につかず時には売春をして日銭を稼ぐなど荒んだ生活を送っている主人公のカタリナは、ある日、モーツァルトの音楽と出会ったことで人生が好転していきます。
クラシック音楽の世界に魅了され、生の音楽が聴きたくなり音楽ホールを訪ねたカタリナは、そこで運よく受付の職を得て、それをきっかけにこれまで別世界だった人たちとの交流が生まれます。やがて、楽団の指揮者アダム(サミュエル・フレイル)に恋をするようになると、クラシック音楽にとどまらず、文学にも興味が芽生えます。
しかし、次第に妻子がいるアダムに執着するようになり、手に入りかけた安定した仕事もクビになってしまうと帰る場所がなく路上生活に陥ります。
カタリナはまず、居場所として図書館に行き、アダムに教わったキルケゴールの本を借りると、日中は図書館で過ごし、閉館後は外のベンチでそれを読み、朝が来るのを待ちます。
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