ケーススタディ016:いじめられっ子は、図書館で奇跡の力を調べる

 

映画『キャリー』の中に、主人公のキャリーが高校の図書室を使うシーンが描かれます。

 

 

狂信的な母に、月経の存在をひた隠しにされていた高校生のキャリーは、体育の授業の後に初潮になり、あまりの驚きと恐怖で超能力が発動します。

 

それからというもの、キャリーに理不尽な出来事が降りかかるたびに不思議なことが起こります。

 

キャリーは自分に宿った不思議な力を調べるために、学校の図書室に行きます。

 

映画『キャリー』にみる図書館のケーススタディ

 

キャリーは、学校図書室の目録カードの引き出しから”miracle”の件名でカードを引き「The secret science behind miracle」(奇跡に隠された科学の秘密)という本を手に取り、開きます。

 

 

 

キャリー:(本のページの文字を指でなぞりながら。)念動作用・・・物を動かしたり変化を引き起こす精神の力。(Thought to be the ability to move or to cause changes in objects by force of the mind…)

 

キャリーは本を抱きしめるように持ち、書架から離れます。

 

キャリーが、”奇跡”という言葉で何かを調べようとしているのは、最後の結末を知っていると切なくて泣けてきます。

 

彼女の念力の源はいつも怒りや恐怖ですが、超能力とか念力があると感じた当の本人(キャリー)は、怒りや復讐心など抱いておらず、ただ置かれた状況を理解しようとしているだけのように見えます。

 

自分の抑えきれない悔しさや怒りが力を支配しているなど考えておらず、彼女の思惑とは別のところで勝手に念力が動いている印象です。

 

『キャリー』は、ホラー映画らしい結末を迎えますが、奇跡に隠された科学の力を信じ、それを知りたいと考えているキャリーのことを思うと、この映画のシナリオが用意した彼女への仕打ちは悲しいと思います。

 

さて、キャリーが引いた目録カードには、請求記号「231.7」 が見えていますが、日本十進分類法では、「念力」などは「147」の「超心理学」や「心霊研究」にあたると思います。

 

学校図書室にそういった分類の資料が豊富にあるとは思えないので、公共図書館の方が適していると思いますが、学校が舞台の映画は、その象徴として図書館が登場することがよくあります。

または、キャリーも最初はそういったキーワードで調べたけど、あまり蔵書がなかったので、「奇跡」で引き直したのでしょうか。

 

学校図書室のシーンは短いですが、いろいろ考えさせられる場面です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP