物語の中に、謎や解決するべき事項が存在するミステリーやサスペンス、ホラー映画では、図書館で調べるという行為が描かれることが多いです。
そして、その「図書館で調べる」という行為の中でよく利用される図書館のツールが、様々な媒体で所蔵されている新聞です。
映画『ミザリー』には、製本された過去の新聞記事をヒントに事件を解明に導く場面が描かれます。
映画『ミザリー』の図書館シーン
人気小説シリーズ「ミザリー」の最新作を脱稿し、車でニューヨークに戻る途中、山道でスリップ事故に遭った小説家のポール・シェルダン(ジェームズ・カーン)は、自分の大ファンだと名乗るアニー・ウィルクス(キャシー・べイツ)に助け出されます。
しかし、ポールが脱稿したばかりの最新作を読んだアニーは、自分の望む結末ではないことに憤慨し、態度を豹変させます。
アニーの異常性に気付いたポールは彼女の要求するまま、たったひとつしかない原稿を燃やし、彼女の思い描く結末に向かってもう一度作品を執筆することになります。
その頃、ポールと連絡がつかないことを心配した担当編集者がコロラド州の警察に通報すると、シルバー・クリークで初老のバスター保安官が連絡を受けます。
このバスター保安官が、映画のキーパーソンであり、のちに図書館を利用する人物です。
バスター保安官は、ポールが滞在したロッジへ行き、「先週の火曜日にチェックアウトした」という情報を入手します。
また、助手である妻にも「吹雪が酷かったのは火曜の夜」だと聞き、吹雪とポールの失踪の関係を疑います。
やがて、ポールが行方不明という話題は新聞に掲載されるほどに広がり、クレジットカードを使った記録もなく目撃情報もないことから、コロラド州警察とFBI(連邦捜査局)が出動し、ついにヘリコプターがポールの愛車を発見します。
警察やFBIがポールは車から放り出されて雪のどこかに死体となって埋まっているだろうという見解を示す中、車にこじ開けられた形跡を見つけたバスター保安官は、何者かがなんらかの事情でかくまっているのではないかと考えます。
バスター保安官は、ポールという人物を知るために彼の著書を読みはじめ、読み進めるうちに、ある一節に目が止まります。
”人間の正義を超越した正義、私はそれを信じます”
バスター保安官は、これをどこかで聞いたことがあるように感じたのです。
そんなある日、シルバー・クリークの町で、ほかの車と怒鳴り合うアニーを見たバスター保安官は、アニーの顔にも何かを感じます。
そして、図書館で製本された過去の新聞記事を調べ、アニーが連続殺人事件の容疑者だったこと、裁判で無実を主張するときに先のミザリーのセリフをそのまま引用していたことを知ります。
>>ケーススタディ001:分からないことを図書館で調べるという基本
アニーが雑貨店でタイプライターの用紙を買いこんだことを聞いたバスター保安官は、アニーの家にポールがいることを確信し、彼女の家へ急ぎます。
『ミザリー』にみる図書館のケーススタディ
ポールという人物を知るために彼の著書を読もうという発想が素晴らしいですが、それらの本については、バスター保安官は図書館で借りるのではなくキオスクのようなところで購入しています。
この、急がば回れを体現したような行動が、のちに彼自身に多くのシンクロシニティを与え、解明に導きます。
図書館のツール・媒体のひとつである「新聞」は膨大な所蔵数があり、その中から確信が持てる情報を得るのは情報リテラシー力や調査力だけではなく相当な運がないと難しいはずですが、この映画では、州警察とFBIが検討違いな見解を示す中、終始バスター保安官の直感が冴えわたります。
新聞は、様々な保管方法があり、一般的に、新しいものから①紙面→②縮刷版→③マイクロといった媒体で保管されますが、近年では①~③を、データベースで閲覧できることもあります。
また、新聞の種類は豊富で、どの図書館がどういった新聞を所蔵しているかは図書館によってさまざまです。
国立国会図書館のリサーチ・ナビで地方の新聞を調べる方法を確認できます。
「地方の新聞を調べるには」国立国会図書館リサーチ・ナビ
さて、バスター保安官は、無事にポールを助け出すことはできるのでしょうか?!
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