図書館の貸出カードの作成をすすめる

映画のキャプチャ画像©Sony pictures. All Rights Reserved(映画『マチルダ』より)

南カリフォルニア大学・ドヘニー記念図書館(Doheny Memorial Library)を舞台に、特殊な造りのセット。
この画像のシーンは、ミセス・フェルプスがマチルダに図書館の「利用カード」をすすめている場面です。

 

図書館の中で、最も知られていること、かつよく利用されるサービスが、

  • 図書館で図書館にある本を読む
  • 図書館の本を借りる

ということだと思います。

 

何かを学びたい、知りたいという気持ちがあるのに、家に本がなかったり、親に本を買ってもらえなくても…

図書館がありますよ。

 

そのことを教えてくれる、映画が『マチルダ』です。

 

 

 

毎日ひとりで図書館に通っていたマチルダは、ついに児童コーナーの本を読破してしまいます。

 

 

>>ケーススタディ004:図書館で図書館の本を読む

 

 

 

ほかの分野の本を読もうと一般書架に本を探しに行くマチルダに、ずっと彼女を見守っていた司書のミセス・フェルプスが重要な情報を教えてくれます。

 

ミセス・フェルプス:You know, you can have your very own library card, and then you can take books home! And you wouldn’t have to walk here everyday. You could take as many as you like!(自分の図書カードを作れば本を持って帰れるわ。毎日来なくても済むし、何冊でも借りられるのよ。)
マチルダ:That would be wonderful …(すばらしいわ。 )

 

 

マチルダは次の日から早速、カートをガラガラ引っ張って図書館に通い、たくさんの本を借りて帰るようになります。

 

 

そして、それによって家でも文学の世界に浸ることが出来るようになります。

 

映画『マチルダ』にみる図書館のケーススタディ

 

実は、司書がみずから進んで利用者にカード作成をすすめることはありません。

司書は利用者がどういった目的で来館し図書館を利用しているのかを積極的に知る権利がないからです。

>>司書は、余計なことを詮索しない

 

しかし、利用者がマチルダのように小さな子で毎日ひとりで図書館に通っているなど、とりわけ目立つような状況で、図書館の本を借りて帰れることを知らないから、毎日図書館に通っているのだということが明らかな場合、手を差し伸べることはあるでしょう。

 

 

「利用カード」「貸出カード」・・・

 

図書館によって様々な呼称があると思いますが、いずれにしても図書館の本を借りて持ち帰るためにカードを作成する必要があります

 

図書館で本を借りるというのは、とてもよく知られたサービスではありますが、たいていは、親に教わったり学校でそういったことを学ぶなど、自分の居住する地域の公共図書館でそれが可能であることを知ることになるのだと思いますが、親に教養がなく学校にも通えないマチルダは、自分で図書館という場所を見つけ出したものの、本を読むために毎日図書館に通うしか方法を知りません。

 

映画『マチルダ』の中で、司書のミセス・フェルプスが行ったサービスとして明らかなことは、「貸出カード」の作成をすすめるということでしたが、本当に注目すべきことは、そこではありません。

 

毎日ひとりで通ってくる小さな女の子に驚きつつも余計な詮索をせず、よく注視し、必要だと思われる手助けを必要なタイミングで行う思慮深さとホスピタリティ精神です。

 

舞台は同じ、階級社会の温床にあるイギリスですが、労働者階級の少年に図書館に入ることさえ許可しなかった『ケス』の司書は対照的です。

 

>>労働者階級の少年を差別する高慢な司書

 

※『マチルダ』の原作の舞台はイギリスですが、映画の舞台は不明

 

 

映画『マチルダ』にみる図書館用語

 

貸出

特定の図書館資料を特定の利用者に一定期間、自由に独占的に利用させることをいいます。

公共図書館では、個人の利用者に資料を貸し出す個人貸出と、団体利用者に貸し出す団体貸出とがあります。

図書館の資料を利用する方法には館内での閲覧と館外への貸出の2種類ありますが、前者が利用時間と利用場所を限定するのに対し、後者はより大きな自由を利用者に提供することになります。

利用者は貸出によって、どのような時間帯でも、どこででもその資料を自由に利用できる点が資料提供方法として優れています。

 

日本の公共図書館にとって、貸出は資料提供の基本的方法であり、図書館運営の原点となっています。

なお、「貸出サービス」という用語には、通常、貸出それ自身とそれに関連する読書案内や予約サービスが含まれています。

 

出典:日本図書館情報学会「図書館情報学用語辞典」

 

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  1. 2020年 10月 12日
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