分からないことを図書館で調べる

映画のキャプチャ画像©Warner Bros. Entertainment Inc

 

分からないことを図書館で調べるというシーンは、図書館が出てくる映画によく描かれる図書館の機能のひとつです。

 

 

小説に描く石の詳細について調べる

 

スタジオジブリの人気作『耳をすませば』では、主人公の雫(しずく)が図書館で調べものをする場面が描かれます。

 

 

中学三年生の雫は、公共図書館や学校図書室にしょっちゅう通い、物語の本を借りては次々と読破するかなりの読書家です。

同じような本好きの同級生、天沢聖二と親しくなったことをきっかけに、今本当にやりたいことを突き詰めようと考えた雫は自分で物語を書くことに決めます。

 

物語の後半、雫のお父さんが働いている公共図書館に行き、小説に登場させる石「ラピス・ラズリ」について調べる場面があります。

 

「へえ、めずらしいなあ。雫が物語以外の本を探してるなんて」というセリフがあり、一生懸命何かを調べていることがわかります。

 

雫が調べていた、石の種類である「ラピス・ラズリ」に関する本は、日本十進分類法の450番台[地球科学. 地学]の中の457[古生物学. 化石]、458[岩石学]、459[鉱物学]に該当しそうですが、「パワーストーン」などの石が持つ力や言い伝えなどを調べる場合は、147番の[超心理学. 心霊研究]にあたる可能性もあります。

また、辞書・事典などの参考文献の場合は一般的な本とは別置されており、貸出もできません。

 

ある事件についての詳細を過去の新聞記事から調べる

 

ミステリー映画の『ミザリー』では、製本された過去の新聞記事から事件解決の糸口となる情報を引き出すことに成功する場面があります。

 

 

有名作家が行方不明になり、州警察とFBIが見当違いな見解を示す中、地元のバスター保安官は何度も機転を利かせ、数々のファインプレーをみせます。

 

まず、行方不明になった作家の人物像を知るために、彼の著書を読みはじめます。

それらの本については、図書館で借りるのではなくキオスクのようなところで購入していますが、その本からひとつのヒントを得たバスター保安官はその後、図書館で製本された過去の地域新聞を調べ、犯人に迫ります。

>>ケーススタディ003:製本された過去の新聞で事件を解明

 

物語の中に謎や解決するべき事項が存在するミステリーやサスペンス、ホラー映画では、図書館で調べるという行為が描かれることが多いですが、その中でも『ミザリー』は、地域新聞の製本された縮刷版という、図書館ならではのツールが描かれていて素晴らしいなと思います。

図書館には、その図書館の所在地の地域誌が所蔵されていますが、一定期間をおいて廃棄され、古いものは縮刷版、もっと古いものはマイクロやデータベースで閲覧できる場合があります。

 

国立国会図書館のリサーチ・ナビで地方の新聞を調べる方法を確認できます。
「地方の新聞を調べるには」国立国会図書館リサーチ・ナビ

 

移住先の国について調べる

 

ティファニーで朝食を』では、オードリー・ヘップバーン演じるホリーが、移住予定の南米についていくつかの本を調べている場面が描かれます。

 

 

結婚相手に経済力しか求めていないホリーは、常に頭の中にお金持ちリストがデータベース化されているのですが、その中のひとり、ブラジル出身のホセと結婚し、南米に移住することを決断しています。

>>ケーススタディ010:図書館の場所と使い方を知ったら、どのように使う?

 

何も知らないポールは、自身がその場所と機能を教えてあげた図書館でその事実を知ることになります。

>>ケーススタディ007:”本好き”が、図書館についてガイドする

 

はじめてニューヨーク公共図書館を訪れた日、図書館という場所とサービスに魅力を感じていなかったホリーが、ふたたびそこに戻ってきたことも、きちんとその使い方を理解していたことも少し意外でした。

>>ケーススタディ009:生真面目な司書は、ティファニーの接客を見習うべき?

 

ホリーのように移住先の国について調べる場合、その国の歴史を調べるのか、ビザの取得方法などの実用的なことを調べるのか、そこでの生活の楽しみ方など旅行のガイドブックのようなものを見たいのか、目的によって異なります。

国の歴史については、200番台[歴史]の中から、該当の国に絞ります。ホリーのようにブラジルについて調べるのならば、255の[ラテン・アメリカ/中南米]です。

ガイドブックのようなものを見る場合は、290番台[地理. 地誌. 紀行]の中から、同じように国で絞ります。ブラジルは、296の[南アメリカ]です。

 

旅の図書館という専門図書館があります。

旅の図書館 「図書館と旅」を実現するための図書館

 

正体不明の言葉について調べる

 

ハリー・ポッターシリーズにはたびたび図書館が登場しますがシリーズ第1弾『ハリー・ポッターと賢者の石』と第二弾『ハリー・ポッターと秘密の部屋』に、まさに調べものをする場面が描かれます。

 

ホグワーツに入学してすぐに仲良くなったハリーとロン、ハーマイオニーは、謎に直面すると黙って見過ごすことができない好奇心旺盛な仲良し3人組で、入学当初はホグワーツの森番・ルビウスになんでも質問していましたが、やがてしっかりものの優等生ハーマイオニーが先頭に立って自分たちで調べるということを学んでいきます。

 

>>ケーススタディ036:開架にある本は軽い読み物?

>>ケーススタディ040:薬の調合の仕方を調べる

禁じられた廊下に隠された「なにか」が「ニコラス・フラメル」というのだと知った三人は図書館に足繁く通い、その言葉の正体について調べようとします。

 

古典的なファンタジーであるハリー・ポッターシリーズですが、図書館で調べるという現実的な行為はしっかりと描かれています。

ほぼハーマイオニーの独断場で、彼女を語るうえでホグワーツの図書室は欠かせない存在といえます。

 

 

図書館には本がたくさんあって、それらの本は、借りて家に持って帰ることができるというのは、もっともよく知られた図書館の機能で、それによって、図書館のイメージが「本」や「勉強する場所」に偏りがちですが、それらを総じて、図書館は分からないことを調べる場所であるといえます。

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