ケーススタディ031:典型的なステレオタイプが投影された学術司書

 

映画『きっと忘れない』には、パロディー化され過ぎた典型的なステレオタイプの学術司書が登場します。

 

 

モンティはサイモンを連れて、自身が所属する大学ハーバード大学のワードナー図書館に入ります。

 

 

サイモンの存在について明らかに不承認の姿勢をみせる司書が彼に近づき、「あなたはここにとどまることはできない」と伝えます。

モンティが「大丈夫、私と一緒にいます。私の研究プロジェクトの一部です。」というと、司書は、「ああ、失礼しました」と言い立ち去ります。

 

映画に図書館が登場するとき、しばしばステレオタイプな司書像が投影されますが、この映画では、まるでコントのように短いハミルカットの金髪、老眼鏡、灰色のスーツに襟付きのブラウスという保守的な服装の司書が登場しています。

それだけにとどまらず、彼女は左手に本までを持っています!

 

彼女の仕事(対応)については、それがよいのか悪いのかは各図書館の運営方針によるでしょう。

 

 

『きっと忘れない』にみるステレオタイプが投影された学術司書

 

scene:00:27:13〜 ワードナー図書館の前で

 

サイモン:Here we are, back where you found me!(映像字幕:古巣に戻った!)」

 

モンティ:Don’t remind me …

 

サイモンが松葉杖をついているモンティのために ドアを開けてあげる

 

サイモン:I wonder what it’s like to read upstairs. Bet the light’s better …一度図書館に入ってみたかった

 

 

scene:00:27:40〜 ワードナー図書館の中に入る

 

モンティとサイモンが図書館に入ってきます。

サイモンは珍しそうに図書館を見回しながら歩き、椅子につまずいて大きな音を立ててしまい周囲の視線を集めます。

サイモンはマフラーと帽子を取り、落ち着かない様子で、何人かの学生が訝しげな目でサイモンを見ている。

 

モンティ(サイモンの前に本を出しながら):Germinal,right?(ジェルミナールだ。)

 

サイモンは彼を無視し、部屋の周りを見回し続けている

 

サイモン:This library’s like a church, isn’t it?(教会みたいだ。)

And when you’re in church, do you ever look up sometimes and wonder what other people are praying for?(みんな 教会で何を祈っていると思う?)

Did someone die? Was someone just born? Library’s like that for me … (おれにとって図書館は生と死を考える所だ。)」

 

短いブロンドの髪、メガネ、ベージュのスーツのジャケットを身につけた年配の女性司書は、後ろから彼らの机にゆっくりと近づき・・・

 

司書: Sir. Sir, you can’t stay here …(ご遠慮ください。)

 

モンティ:Oh, it’s okay, he’s with me. He’s uh, part of my research project.(卒論のパートナーです。)

 

司書:Oh, I beg your pardon …(どうも失礼。)

 

女性司書は立ち去り、サイモンは彼女が去るまで見続けている。

 

サイモン:Women, ain’t they perfect?(”女は強し”だ)

モンティ:Not always … (でもないさ)

 

サイモン:Yes they are, they’re perfect. Don’t matter if they’re skinny, fat, blonde, or blue. If a woman is willing to give you her love, Harvard,it’s the greatest gift in the world. Makes you taller, makes you smarter, makes your teeth shine! Boy oh boy, women are perfect!(最高だ。痩せた女でも太い女でも女が与える愛はすばらしい贈り物だ。その愛が男を変える。大したもんさ。)

 

モンティ: Keep your voice low, alright?(静かに)

サイモン:Perfect joy and perfect ache. Joy when you first see ‘em and you get to know ‘em, ache when you leave ‘em! Joy, ache. Joy, ache.(女は喜びと苦しみ。出会いは喜びを別れは悲しみを生む。喜びと悲しみ…)

 

サイモンは首を左右に振りながら同じ言葉を繰り返し言い続ける。

 

サイモン:Joy, ache! Joy, ache! Joy, ache! Joy, ache! Joy, ache! Joy, ache! Joy, ache! Joy, ache!

 

誰かが「シー」とサイモンに注意する。

 

モンティ:If you keep your voice low, then you wouldn’t attract attention.(大声を出すな 注意されるぞ。)

 

サイモンはうなだれ、しばらく静かになる。(髪の毛や爪を気にしている様子。)

 

サイモン:Psst! I’ll give you two pages for a bath … (風呂に入れろ)

 

モンティ:Okay, lemmee get some work done … (勉強してから)

 

サイモンは本を開いて読み始め、モンティも論文に集中しようとするが、サイモンの方を見る。

 

モンティ:Why did you say me “a looser”?(なぜ負け犬だと?)

 

サイモン:Siー!

 

二人の会話は続く。

 

「図書館では静かに」のルールを利用したやり取りは、ティファニーで朝食をの図書館シーンを彷彿とさせます。

>>ケーススタディ009:生真面目な司書は、ティファニーの接客を見習うべき?

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