映画『大統領の陰謀』には、米国議会図書館(アメリカの国立図書館)が登場します。
この図書館の場面では、図書館の管理職(だと思われる)ポジションから現場のカウンターにいる司書までのそれぞれの立場の職員が、個人情報保護についての認識を共有できていない問題が見られます。
また、この映画の図書館シーンは、全体的に記者も含め情報保護に関して認識の甘さが散見されます。
>>ケーススタディ023:個人情報を喋りすぎた結果、陰謀に加担してしまった司書
『大統領の陰謀』にみる図書館のケーススタディ
官邸図書館(ホワイトハウス・ライブラリー)への電話取材が難航した二人の記者、ウッドワード(ロバート・レッドフォード)とバーンスタイン(ダスティン・ホフマン)は、今度は直接、議会図書館にやってきます。
ホワイトハウスの取引に関する情報を入手するため、机に座る一人の職員に声を掛けます。
司書1:You want all the material requested by the White House? All White House transactions are confidential.(ホワイトハウスの取引はすべて機密情報です。)
Thank you very much, gentlemen.(あしからず。)
この職員は明らかに、ある程度の権限を持つ中位以上の管理職の司書であり、そのイメージをるた強調するかのようにスーツとネクタイを着用し、プライベートオフィスを持っています。
二人の記者は部屋を出て、廊下を歩いている場面に移ります。
バーンスタイン: We need a sympathetic face.(協力者が必要だ)
ウッドワード: We’re not gonna find one here.(ここでは見つけられそうにない)
諦めない二人の記者は、図書館の別の事務所に行き、そこにいる別の司書にホワイトハウスの取引記録を求めます。
司書2:You want every request since when?(いつからのが必要ですか?)
バーンスタイン or ウッドワード: Uh, when …
July of ’71.(71年の7月)
I imagine the whole last year.(去年1年間のを)
司書2: I’m not sure you want ‘em, but I got ‘em …(大変だけどいいかな。)
本棚に囲まれた円形状のデスクに座っているこの司書は、直前の司書よりも組織図の下の立場にあることがあきらかで、記者団に「何を求めているのかわからないけど、まぁやってみるよ。」と伝えています。
その後、彼は数百もの貸出カードをためらいもなく彼らに提供します。
二人の記者は、それらを大きな閲覧室でフィルタリングします。
この特定のケースでは、一見、最初の司書の方が融通の利かない頭の固い司書で悪者のようにみえますが、ホワイトハウスの記録の機密性に関する図書館の方針をよく理解し順守しているに過ぎません。
しかし、組織図の下端にいる現場の司書によってそれは破られます。
すべての司書が一貫した方法で行動できないことは、組織内のコミュニケーションが不十分であることを示しています。
また、記者のふたりが大閲覧室でそれらの大量の個人情報リストをフィルタリングしているのも気になります。
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