近年、図書館が登場する映画は以前よりかは増えてきているように思います。
図書館が舞台となるとき、同時にそこではたらく図書館員が登場することもあります。
しかしながら、司書・図書館員という職業について詳細に語られたり、それを目指すもの(大学生など)によって、図書館情報学という学問や「司書資格」という資格が少しでも描かれるような作品は見当たりません。
だからこそ、1990年の『パーティーガール』は唯一のケーススタディとしていろんな視点で重要なテキストになります。
『パーティーガール』における図書館のケーススタディの記事では、アメリカの司書資格について簡単に触れたので、日本の「司書資格」を取得するための情報も簡単に残しておきたいと思います。
日本の「司書」資格とは?
「司書」とは、公共図書館や教育機関等の図書館において、図書資料の選択や発注、保管、貸出業務などを行う専門職員のことであり、その職に就くために必要な国家資格です。
日本では図書館員の重要性があまり認識されておらず、その養成は短期大学や学部レベルでの図書館学(現在では、図書館情報学) いわゆる司書課程での24単位履修が主流となっています。
すなわち、 学部レベルの養成と言っても、専攻や学科ではなく課程での養成です。
そのため、毎年1万人前後の大学生(短期大学生も含む)が司書の資格を取得し、その中の 200 人前後の卒業生が実際に図書館に就職するといわれています。
「司書資格」取得方法
現在のところ、司書資格を取得するための方法は、2つあります。
1. 在学している大学で「司書資格取得科目」を履修し、必要な単位を取得して卒業する
2. 司書講習で全過程を修了する
在学している大学で「司書資格」を取得する
在学している大学に「司書資格取得課程」(おもに文学部)があれば、そこで必要単位を取得します。
その場合、大学卒業と同時に司書資格が与えられます。
通信制大学で司書課程を設けている大学もあるので、そこで必要単位を取得するという方法もあります。
司書講習で「司書資格」を取得する
司書講習は、短大や高等専門学校などの卒業生も含め、大学に2年以上在学し62単位以上を修得している者が受講対象となります。
在学している大学に「司書資格取得課程」がない場合も、3年生以上で62単位以上を取得している学生が受講することができます。
また高卒の場合は、司書補講習を受講し司書補として3年以上の勤務経験の後に司書講習を受講することができます。
下記のように、司書資格の条件を満たす前に講習を修了した場合は、司書資格の条件を満たした時点で資格取得が可能になります。
・大学卒業前に司書講習を修了した場合=大学卒業時
・司書補としての経験が3年に満たないうちに司書講習を修了した場合=司書補としての経験が3年になること
「司書資格」取得は今後、見直しが図られるかも
このように司書資格の取得は、高卒でも、社会人でも、在学している大学に司書課程がなくても取得可能で、多くの人に門戸が開かれています。
そのような養成課程は図書館に関心を持つ市民を増やすことにつながり、それなりのメリットがないわけではありませが、専門職としての図書館員の養成という観点からは大きな問題だとされています。
そのような状況を危惧する日本図書館情報学会は、 科学研究費を得て「情報専門職の養成に向けた図書館情報学教育体制の再構築に関する総合的研究」を行い、 研究成果を2006年に『liper報告書』のタイトルで公表し、
日本でも公共図書館、 学校図書館、 大学図書館の図書館員は大学院で養成されるべきである
としています 。
参照:日本図書館情報学会『liper報告書』(2019.1.31アクセス)