映画『ティファニーで朝食を』では、これまで図書館の存在を知らなかった人物が、図書館をよく知っている人物によって、その存在と場所、機能を教えてもらうという場面が描かれます。
しかし、はじめてニューヨーク公共図書館に足を踏み入れたホリー(オードリー・ヘップバーン)は、司書の厳しい態度を目の当たりにし「ティファニーの半分の魅力もない。」と言い放って図書館を後にします。
このとき図書館の中で、終始、軽いノリでふざけた態度のホリーでしたが(それが彼女の魅力でもあります)、実はこのときに、図書館の場所もその使い方もきちんと学んでいたことが、その後わかります。
はじめてふたりでニューヨーク公共図書館を訪れたその日、ふたりはまず、ホリーお気に入りのティファニーに行っています。
高価な宝石を買うことができないポールは、”コーン・キャンディー”(アメリカのお菓子)のおまけの指輪に名前を掘ってもらうことになりました。(これこそが、ホリーが絶賛するティファニーのサービス)
数日後、その指輪を受け取ったポールは、ホリーに連絡をしますが繋がりません。
ホリーを探すため街に出たポールは、ニューヨーク公共図書館の近くでホリーによく似た女性を見かけ、追いかけて行き捕まえます。
それは人違いでしたが、そのまま図書館の中に入り、ふと閲覧席に目をやると、夢中で本を読むホリーの姿がありました。
ホリーに近づき後ろから声をかけるポールですが、ホリーは釣れない態度をとります。
ホリーは、はじめて図書館を訪れた日の態度と打って変わって、静かに黙々と南米に関する本を読んでいます。
「一人にして」というホリーに、なおも食い下がらないポールは、「南アメリカがどうしたんだ」と詰め寄ります。
ホリーは「そこの人と結婚するから」といいます。
ホリーは、ブラジルの大富豪ホセと結婚し、南米に移住する決断をしていたのです。
ポールはひどく落ち込んで図書館を後にします。
自分が教えた図書館という場所で、自分とは別の男性との人生に向けた調査をしていることを知ったポールは、さぞがっかりしたことでしょう。(しかも、ポケットにはふたりの思い出の指輪が…)
一方、ホリーの態度からもポールへの後ろめたさが感じられる少し切ない図書館場面です。
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