大学図書館は、その大学に所属する学生や教授、職員しか利用できないと考えている人もいるかもしれませんが、実は、多くの大学が一般利用を許可しています。
1986年のコメディ映画『赤ちゃんはトップレディがお好き(原題:Baby Boom)』には、一般市民(大学の所属している学生や教員などではない人)が大学図書館を利用して調査する場面が描かれます。
ハーバード大学で経営修士号を取得し、マンハッタンの一流企業で働く優秀なキャリアウーマン、J・C・ワイアット(ダイアン・キートン)は、生活のすべてを仕事に捧げる順風満帆な日々を送っています。
重役の椅子を目の前にしたある日、顔も知らない親戚が亡くなり、思いがけない遺産が舞い込んでくると知り大喜びしますが、しかしその遺産とは、J.Cの予想に反し、生後13カ月の赤ちゃんエリザベスだったのです。
エリザベスが家にやってきてからというもの、慣れない育児に振り回され、恋人にも愛想をつかされ、仕事でもミスを連発します。
それでも自分で勝ち取ったクライアントとの契約を交わすために奮闘しますが、部下にチャンスを奪われ会社を辞める決断をすると、同時に都会生活も手放し、田舎に家を買ってエリザベスを連れて移住します。
最初は慣れない田舎生活でしたが、庭で採れた大量のりんごを使ってエリザベスの離乳食用にアップルソースを作ったJ.C.は、一部を馴染みの商店に置いてもらうことにします。
するとそれが思いがけず好評となり、本格的に売り出そうと考えます。
そこで、ベニントンカレッジ図書館(Bennington College Library)を訪れ、文献を調査します。
『赤ちゃんはトップレディがお好き』にみる図書館シーン
自家製のベビーフードが思わぬ好評を博したJ.C(ジェー・シー)は、それをビジネス展開することを思いつきます。
そこで彼女がとった最初の行動は何でしょうか?
図書館へ行く、です。
この場面では、「Bennington College Library」の看板が映った直後にJ.Cが図書館にいる場面に移るので、ベニントンカレッジの図書館だということが明確にされています。
次のショットでは、J.Cが早口でデスクの若い司書(おそらく学生アルバイト?)に必要なすべての情報をまくしたてます。
図書館員はただうなずき、メモを作りはじめます。
この女性図書館員は、めがねと80年代を象徴するようなデザインのベストを着ています。(映画でよく描かれる古典的な司書のイメージです)
大きなテープディスペンサーと彼女の横には本のカートもあります。(古典的な「司書の小道具」の例です。)
この図書館員は、必要なものを適切に手に入れました。
なぜなら、次のショットではJ.Cが大量の資料を机に広げ、メモを取っているからです。
J.Cの「I’m doing a little bit of research.(わたしはちょっとした調査をしています)」というセリフがあります。
『赤ちゃんはトップレディがお好き』にみる図書館のケーススタディ
ビジネスをはじめるにあたり、最初に図書館に足を運んだJ.Cは、さすがです。
そして彼女は、図書館のカウンターで「ビジネスをはじめたいんですけど」と相談するわけではなく、自分が求めている資料をリストにしてカウンターに向かっています。
彼女が請求したのは
- 「ベビーブーマー」
- 「人口統計」
- 「新しい消費者に関する情報」
など、小規模ビジネスの開始とマーケティングやトレンドに関する資料です。
J.Cが大学図書館に行った理由はわかりません。
単に一番近い図書館が公共の図書館ではなく大学だったのかもしれません。
人口統計や白書などは公共図書館にもありますし、ビジネスサービスは、多くの図書館で提供しているサービスです。
ただし、人口統計や白書・年鑑は、参考図書(資料)といわれ、図書館内のみで参考にする資料とされています。
つまり、貸出(図書館で借りて、自宅に持って帰ること)はできません。
また、公共図書館にもビジネスに関する資料はありますし、ビジネスサービスと称して資料相談などができたりしますが、やはり、資料の充実度でいうと経済学部や商学部がある大学図書館は、公共図書館より充実しています。
上手に使い分けるのがおすすめです。
J.Cのように目的の資料をはっきりさせて図書館に行くのは時間の短縮になりますが、相談したいことがはっきりしていないとき(輪郭だけあって、細かい資料の選別が自分でできていないなど)は、レファレンスカウンターで現状のありのままを相談するということもできます。
ビジネスについて調べたいこと(もの)がある時、図書館は大変有効な場であり、ツールです。
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