映画『ゾディアック』基本情報
原題 | Zodiac |
監督 | デヴィッド・フィンチャー |
原作 | ロバート・グレイスミス『ゾディアック』(Zodiac、1986年)、『Zodiac Unmasked』 |
公開年 | 2007年 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
ジャンル | サスペンス |
上映時間 | 2時間 37分 |
1960年代後半から1970年代初頭にかけてサンフランシスコのベイエリアとその周辺で発生した連続殺人事件と、その事件の犯人だと名乗るものが警察や新聞社にいくつかの手紙と暗号を送った未解決の「ゾディアック事件」を描いたサスペンスです。
監督は、『セブン』『ドラゴン・タトゥーの女』でも見事な図書館シーンを、『ゴーン・ガール』ではこれも見事な書店を演出したデヴィッド・フィンチャーです。
現在も未解決であるゾディアック事件を題材にしているため、この映画でも犯人が特定されることはありません。
ゾディアックに関わったことで運命を翻弄された記者、風刺漫画家、二人の捜査官の顛末を描いたドラマの要素が強いです。
デヴィッド・フィンチャー監督が7歳の時、自宅から20マイルの距離でゾディアック事件が発生し、通学に利用していたスクールバスがパトカーに護衛された経験があるのだそうです。
映画『ゾディアック』図書館シーン
この映画での図書館の登場の仕方は大変興味深いです。
基本的に図書館が舞台となるようなことはないのですが、4つのパターンで登場しています。
図書館シーン1:図書館への理解が深い主人公によって、図書館と図書館の資料が語られる
この映画の中で、最も図書館が描かれる場面は、実は図書館という場所もそこで働く司書も登場しない場面です。
新聞社に勤める風刺漫画家ロバート・グレイスミス(ジェイク・ジレンホール)によって「図書館」の存在が語られます。
内向的でありながらチャレンジャーな彼は、この作品を通じて「図書館があれば出来る」ということを教えてくれます。
また彼は、なんと、記者と捜査員という調査や捜査のプロを相手に図書館のレファレンスを展開します。
>>ケーススタディ042:フリーランスレファレンサーという新しい職業の誕生?!
そして、もっとも興味深いのは、ロバートと記者ポール・エイブリー(ロバート・ダウニー・Jr)の図書館に対する価値観の相違です。
ロバートが最初に図書館の存在を語る場面から一貫して図書館を見下しているポールですが、最後はその図書館に打ちのめされます。
>>ケーススタディ043:「ただ、図書館に行くだけ」という行動の価値
図書館シーン2:新聞社の記者がアーカイブを調査(専門図書館の中が登場)
日刊紙「サンフランシスコ・クロニクル」の記者ポールが新聞社の資料庫(専門図書館のジャンルに分類される)で過去の新聞のアーカイブを確認するシーンがあります。
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図書館シーン3:ゾディアック事件の現場として図書館が登場
映画の1時間12分後、数人の地域警察官がリバーサイド警察署を訪れ、ゾディアック事件の初期の犠牲者を分析して話し合う場面があります。
Cheri Jo Bates attended Riverside Community College. She studies in the library the night of Oct. 30, 1966. She leaves with an unidentified male at closing, 9 p.m. Her body’s found the next morning in a parking lot, stabbed to death.
図書館シーン番外編:警察署の舞台に図書館がロケ地として使われている
リバーサイド警察署でのシーンの内部と外部は、カリフォルニア州カルバーシティのメイムA.クレイトン図書館と博物館で撮影されています。
この図書館は、いくつかのスペースをレンタルしていて、図書館のウェブサイトでゾディアックで撮影された場所を確かに確認できます。
ロケ地・舞台として登場する図書館 | メイムA.クレイトン図書館・博物館(カリフォルニア州カルバーシティ) |
登場する図書館の館種 | 専門図書館(新聞社)ほか |
描かれる図書館のサービス | 貸出 |
描かれる図書館のコレクション・資料 | 本、新聞のアーカイブ |
描かれる図書館の機能 | 特定の主題について調査(実在する本が2冊登場) |
描かれる図書館の問題 | 個人情報を入手(未遂) |
司書・図書館員の登場 | なし |
映画『ゾディアック』図書館場面の参考文献リスト
デヴィッド・フィンチャー 『ゾディアック』(ワーナー・ブラザース),2007.
映画『ゾディアック』 あらすじ・解説・レビューのアーカイブ
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