ケス(1969)

 

映画『ケス』の概要

 

原題 Kes
監督 ケン・ローチ
原作
公開年 1969年
製作国 イギリス
ジャンル ドラマ
上映時間 1時間 50分
ロケ地・舞台となった図書館 不明

映画のキャプチャ画像©2019 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved

 

 

イギリス・ヨークシャーの小さな炭鉱の町で母親と兄と共に暮らす労働者階級の少年ビリー(デヴィッド・ブラッドレイ)は、家では自分勝手な兄に八つ当たりされ、学校ではクラスメイトや先生に虐げられるなど居場所がなく憂鬱な日々を送っています。

 

ある日、荒廃した建物から飛び立つハヤブサをみかけたビリーは、ハヤブサのヒナに「ケス」と名付け、懐かないと言われるその鳥を調教することに楽しみを見出します。

 

『わたしは、ダニエル・ブレイク』で世界中で高い評価を受けたイギリスの名匠、ケン・ローチ監督の初期の名作です。

社会に対する怒りをフィルムに淡々と投影するケン・ローチらしい作品で、少年と動物の交流を描きながら、現実の非情さがすべてを飲み込んでしまう展開は必見です。

『わたしは、ダニエル・ブレイク』にも図書館場面があります。>>こちら

 

本物のヨークシャー訛りで語られる台詞はイギリス人でも理解できず一部は吹き替えられたといいますが、本当に聞き取りにくい英語で、それもまたみどころのひとつです。

 

 

映画『ケス』の図書館シーン

 

ある日、荒廃した建物から飛び立つハヤブサをみかけたビリーは、その建物の所有者の男性に「ひなを育てて訓練したいな」と話します。

男性は「難しいよ。育て方を間違えると危険だ」と止めるのですが、「やり方について調べる」と食い下がるビリーに、「図書館ならそういった関係の本があるよ。」と教えてくれました。

 

ビリーはその助言に素直に従って公共図書館に行きますが、入口の受付で若い図書館員の女性(ゾエ・サザーランド)に止められます。

図書館員はビリーに会員かどうかを確認し入館するのを阻止しますが、その間に、多くの利用者が会員かどうかを確認されることもなく引っ切りなしに自由に入館しています。

 

>>ケーススタディ002:労働者階級の少年を差別する高慢な司書

 

この図書館員はさらに、図書館の本を借りるには会員になる必要があり、会員になるには保護者の同意が必要だと説明します。

そして、どうしても本を借りたくて引き下がらないビリーに対し、ついに「手が汚い。そんな手で触られると本が汚れる」という信じ難い一言を言い放ちます。

 

ほかに本がある場所は?と聞かれた図書館員は、古本屋について教え、ビリーは図書館で本を借りることを諦め、古本屋で本を盗みます。

 

1冊の本で育て方を勉強したビリーは、ハヤブサの巣からヒナを持ち帰り、懐かないと言われるその鳥を調教しはじめます。

ハヤブサに「ケス」と名前をつけると、彼は夢中になって育てはじめ、やがてそれが毎日の楽しみとなります。

 

図書館のシーンはだいたい1分15秒ほどです。

 

▼ 映画『ケス』にみる図書館のケーススタディ

ケーススタディ001:分からないことを図書館で調べるという基本
ケーススタディ002:労働者階級の少年を差別する高慢な司書

ケーススタディ048:子どもに対するサービスの明暗

 

 

映画『ケス』 あらすじ・解説・レビューのアーカイブ

 

 

映画『ケス』における図書館場面の文献リスト

東史 「図書館は子どものオアシス?〈映画の図書館・図書館の映画5〉」図書館雑誌 96(1) 40-41.

 

>>記事一覧(総目次)
>>図書館映画総目録

 

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